ちょっと前におこなった
PAS、引込ケーブル、レジン碍子の交換工事での
工事立会及び竣工検査の際、
PASと高圧ケーブルには耐圧試験を実施し
レジン碍子は技術基準を確認の上
耐圧試験省略としました。
耐圧試験の省略については
技術基準だけ読んでも
判断できない内容となっていて、
これまで
ちゃんと調べたことなかったので
まとめてみることにしました。
(各規格は2023年5月8日現在の
年数のものです)

まず調べ物をするにあたり、
電気設備技術基準とその解釈を手元に用意。
オーム社の物を毎年購入しています。
ふと、
現場で技術基準を確認したい時
スマホで見られたらいいなと
思いついてしまい
電子書籍のkindle版を検索したら
オーム社はなかったが
電気書院はあったので
今後のために
購入してスマホに
ダウンロードしておきました。
そして、
経済産業省産業保安で公開されている
「電気設備の技術基準の解釈の解説」が
インターネットを検索すると
出てくるので、
ダウンロードして合わせて読むと
より分かりやすいです。
それから、
日本電気技術規格委員会
電路の絶縁耐力の確認方法
JESC E7001(2021)が
無料でダウンロード出来るので
準備しました。
これが無いと
規格の追跡ができません。
さらにその内容から
「キュービクル式高圧受電設備」
日本産業規格 JIS C 4620
も確認する必要があります。
日本産業標準調査会ホームページの
JIS検索画面で
「JIS C 4620」と検索し、
新規登録ののちログインすれば
無料で閲覧できます。
最後に
高圧機器製造者のホームページから
各機器の仕様を都度検索し、
JESC E7001もしくはJIS C 4620に
記載された規格に通じているかを
確認しました。
[高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能]
電技解釈第15条
これには電路とだけしか書いておらず
どこまでを示すのかわかりにくいですが、
「電気設備の技術基準の解釈の解説」から
架空電線路や地中電線路とあるので
主に引込や送り出しに使われるケーブルが
該当すると思われます。
始めはPASやUGSも含まれると思いましたが、
電気の”みち”と考えたときに
入口出口を区切る機器ではあるが
道ではないので
こちらは
電技解釈第16条の機械器具等になるだろうと
考えられます。

絶縁耐力試験は
電技解釈第15条の一から
最大使用電圧(6,600V×(1.15/1.1))の1.5倍
=交流試験電圧10,350V
または
電技解釈第15条のニから
交流試験電圧10,350Vの
2倍の直流電圧20,700V。
日本電気技術規格委員会の
規定する適応確認による
絶縁耐力確認は
特別高圧の場合のみで
高圧は適用外です。
[機械器具等の電路の絶縁性能]
電技解釈第16条
・変圧器

電技解釈第16条の一
絶縁耐力試験 交流試験電圧10,350V
電技解釈第16条の二
日本電気技術規格委員会の規定する
適応確認により
JEC-2200
JIS C 4304
JIS C 4306
に準拠した変圧器であれば
絶縁耐力確認と認められます。
・回転機(発電機やモーター)

電技解釈第16条第2項の一
交流試験電圧10,350Vでの絶縁耐力試験
電技解釈第16条第2項の二
交流試験電圧10,350Vの
1.6倍の直流電圧16,560Vでの絶縁耐力試験。
日本電気技術規格委員会の規定する
適応確認による
絶縁耐力確認の定めはありません。
・開閉器、遮断器、電力用コンデンサ、
計器用変成器その他の器具

電技解釈第16条第6項の一のロ
交流試験電圧10,350Vでの絶縁耐力試験
電技解釈第16条第6項の三
日本電気技術規格委員会の規定する
適応確認により準拠していれば
絶縁耐力確認と認められます。
- 日本電気技術規格委員会 -
- 電路の絶縁耐力の確認方法 -
- JESC E7001(2021)と -
- 各器具製造メーカーホームページで -
- 準拠規格を確認して照合できた一覧 -
DS ディスコン JEC-2310 JIS-C 4606
VCB JEC-2300 JIS C 4603
コンデンサ JIS C 4902-1
リアクトル JIS C 4902-2
放電コイル JIS C 4902-3
「キュービクル式高圧受電設備」
日本産業規格 JIS C 4620から
PAS、UGS JIS C 4607
LBS JIS C 4611
CT JIS C 1731-1
VT JIS C 1731-1
高圧クリート JIS C 4620
プライマリーカットアウト(PCS) JIS C 4620
レジン碍子 JIS C 3851
DGR用ZPD(零相蓄電器) JIS C 3851
GR,DGR用ZCT JIS C 4601 JIS C 4609
高圧避雷器(酸化亜鉛形直列ギャップ付避雷器) JIS C 4608
VMC(VCS)に関しては
メーカーサイトから
JEM 1167準拠とありましたが、
JESC E7001とJIS C 4620から
それに相当する記載を
見つけることは
できませんでした。
まとめとして
個人的な今後の対応ですが、
PASやUGSは
耐圧試験省略の対象になりますが
商用受電での常規対地電圧で
異常の有無を確認と考えたとき、
異常があった場合に
即時回路を遮断する環境が必要と思われ、
その機能をPASやUGSが担うので
必ず商用電路に繋ぐ前に
耐圧試験を行う必要が
あると考えます。
試験器で常規対地電圧の
6,900V÷√3=3,988を
掛けるくらいなら
10,350Vでやる手間と
全く変わらないので
意味がないです。
工事材料としての
変圧器や高圧機器は製造後、
運搬などでダメージを
受けている可能性を踏まえて
基本、
耐圧試験を実施します。
ただし、
レジン碍子、高圧クリート、
PCS、ZCT、ZPDなど
ボディーアースや導体がなくて
単体での耐圧試験は難しく、
さらに
部分更新で取り付け後
既設の機器と混在するので
10,350Vかけたくないもの
および
メーカーの注意事項から
絶縁耐力試験時は
原則電路から
切り離すこととなっている
直列ギャップ付避雷器に関しては
規格適合品であることの確認により
耐圧試験省略および
商用受電による常規対地電圧を
電路と大地との間に連続して
10分間加えて確認したときに
これに耐えること、に
置き換えることにします。
ただし、
試験報告書には
「電技解釈第16条第6項の三に基づき
規格適合品であることを確認し、
常規対地電圧を電路と大地との間に
連続して10分間加えて
確認したときにこれに
耐えることを確認しました」と記載し、
対象器具仕様書と一緒に
残す必要はあると考えます。